★☆★JNSAメールマガジン 第286号 2024.5.3☆★☆
2024/05/03 (Fri) 15:30
★☆★JNSAメールマガジン 第286号 2024.5.3☆★☆
こんにちは
JNSAメールマガジン 第286号 をお届けします。
メールマガジンはJNSAのホームページでもご覧いただけます。
JNSAメールマガジン https://www.jnsa.org/aboutus/ml.html#passed
コラム最後にワンクリックアンケートがあります。
ぜひこのコラムの感想をお寄せください。
今回のメールマガジンは
株式会社日立システムズ 秋島 佳代子様に
ご寄稿いただきました。
【連載リレーコラム】
イーロン・マスク氏のTwitter(現X)の変革:現状分析と未来への一歩
株式会社日立システムズ
秋島 佳代子
2022年10月にイーロン・マスク氏によって買収されたTwitter(現X)は、
1年半たった今も様々な話題が絶えない。
昨今の報道から買収当初にマスク氏が掲げた、アプリ一つで様々なサービスを
利用できる「スーパーアプリ」化は苦戦しているように見える。
スーパーアプリとは、SNSサービスに加えて、メッセージの送受信、電子決済、
通販などのサービスが一つのアプリでできることを指す。
この中でも最近話題になっているのが、クリエイター向けの広告収益化
プログラムである。
以下の条件を3つ満たすことでクリエイターは収益を得ることができる。
1.Twitter Blue契約もしくは認証済組織に登録していること
2.過去3カ月間の投稿のインプレッション数が1,500万以上であること
3.フォロワーが500人以上であること
Twitterは、クリエイター向けの広告収益化プログラムは存在しなかった。
多くの企業や組織はTwitterをマーケティングツールとして利用し、
ターゲットとなるユーザ向けに様々な広告を展開していた。
当時もインプレッション機能は存在していたが、この数字はあくまで自身の
投稿に対してどれだけのユーザがリーチし、どのような反響があったかを
分析する指標でしかなかった。
つまり、Twitterの投稿内容がどれほどのユーザを惹きつけたか、自社の製品や
サービスに興味を持つかどうか戦略を立てるツールではあったが、手の込んだ
コンテンツを作成したとしてもその対価としてクリエイターが収益を得ること
はできなかった。
一方、Xでは、Xプレミアムという有料のサブスクリプションサービスが開始され、
Twitterとはコンセプトが様変わりした。Twitterは企業や組織がターゲット層
にうまくリーチするためのツールだったが、インプレッション数に応じて収益
を得られることもありクリエイターたちにとって新たな収入源となっている。
インプレッションとは、投稿したツイートが他のユーザのタイムラインに表示
された回数のことで、投稿がどれだけ多くのユーザに届いたかを知る指標となる。
このインプレッション数を増やすためには、リツイート機能をうまく利用するとよい。
しかし、この機能を悪用するインプレゾンビの現象が多く発生しているのは
ご存じだろうか。
インプレゾンビとは、特にXで見られる現象で、バズった投稿や人気のある
アカウントに無意味なリプライを繰り返すbot群を指す。
これらは、Xの広告収益プログラムを不正に利用して自身のインプレッション数
(表示回数)を増やすことを目的としている。
インプレゾンビの手法は、注目度の高い他のアカウントの投稿にたいして、
即座に関連性の薄い内容の返信を行うことで便乗的に閲覧数を伸ばす手口がある。
その際の投稿は、絵文字や外国語、あるいは文脈を無視した典型文である
ケースが多く、相手とのコミュニケーションを目的としたものではない。
また、インプレッション稼ぎのために、「リプライ」を主な手段としている点
から、リプライゾンビと言われることもある。
インプレゾンビの投稿は内容がなく、かつ大量のアカウントによってなされる
ことからX上で情報収取をしている一般ユーザにとってノイズとなり、迷惑行為
として問題視されている。
2024年1月1日に起きた能登半島地震では、インプレゾンビが援助を求める投稿を
コピーしたり、別の災害の画像を投稿したりデマや偽情報が拡散され深刻な問題
となった。日本は災害時のコミュニケーションツールとしてXを活用している
部分もあるため、インプレゾンビの出現は深刻な問題となっている。
更に3月19日に英国のチャールズ国王の死亡デマがSNS上で拡散された際も
このインプレゾンビの存在が大きかったという。
マスク氏がXを有料化した理由は、主にbotの排除を目指していた。
しかし、新たに導入されたクリエイター向けの広告収益化プログラムが、
予想外にbot群の増加を引き起こした可能性がある。
それでも、Xは新機能を次々とリリースし、メディアからの注目を集めている。
これは、マスク氏の思う壺で戦略の一部であると考える。
マスク氏は、しばしば、ユーザが真に求めているものを追求するためにリスクを
取ることもある。さらに、マスク氏は企業や組織が広告を流すツールではなく、
個々のユーザ間の交流を活性化し、新しいものを生み出す人々が報酬を得られる
仕組みの構築を考えているかもしれない。最終的には、Xを使って様々なことが
完結できる「スーパーアプリ」を目指しており、まだ発展途上だろう。
今後も改善を重ね、マスク氏の夢の実現に向けてXは進化し続けるだろう。
※注:文章中、投稿と投稿の共有・拡散を現在でも多く利用者に馴染のある
「ツイート(tweet)」「リツイート(retweet)」と表現しています。
なお、X公式では「ポスト(post)」「リポスト(repost)」と表現しています。
#連載リレーコラム、ここまで
<お断り>本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属団体及びその業務と
関係するものではありません。
<ワンクリックアンケートお願い>
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https://tinyurl.com/2ce4fywn
※googleアンケートフォームを利用しています。
【部会・WGからのお知らせ】
★サイバーセキュリティ職業紹介サイト「サイバーセキュリティのお仕事紹介」
「教える人」の動画を公開しました。
https://www.jnsa.org/jobintroduction/index.html#white-team-video
★6/15開催!!産学情報セキュリティ人材育成検討会主催
「JNSAインターンシップ交流会」参加者募集中です。
https://www.jnsa.org/internship/index.html
【事務局からのお知らせ】
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https://www.jnsa.org/aboutus/chronology/index.html
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当協会から個人の方へ金銭のご請求を行うことはございません。
お心当たりのある方は最寄りの警察署に御相談下さい!!
★リモートワークに活用ください!
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https://www.jnsa.org/telework_support/telework_security/index.html
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sec@jnsa.org
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JNSAメールマガジン 第286号
発信日:2024年5月3日
発 行:JNSA事務局 sec@jnsa.org
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1.Twitter Blue契約もしくは認証済組織に登録していること
2.過去3カ月間の投稿のインプレッション数が1,500万以上であること
3.フォロワーが500人以上であること
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多くの企業や組織はTwitterをマーケティングツールとして利用し、
ターゲットとなるユーザ向けに様々な広告を展開していた。
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分析する指標でしかなかった。
つまり、Twitterの投稿内容がどれほどのユーザを惹きつけたか、自社の製品や
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一方、Xでは、Xプレミアムという有料のサブスクリプションサービスが開始され、
Twitterとはコンセプトが様変わりした。Twitterは企業や組織がターゲット層
にうまくリーチするためのツールだったが、インプレッション数に応じて収益
を得られることもありクリエイターたちにとって新たな収入源となっている。
インプレッションとは、投稿したツイートが他のユーザのタイムラインに表示
された回数のことで、投稿がどれだけ多くのユーザに届いたかを知る指標となる。
このインプレッション数を増やすためには、リツイート機能をうまく利用するとよい。
しかし、この機能を悪用するインプレゾンビの現象が多く発生しているのは
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インプレゾンビとは、特にXで見られる現象で、バズった投稿や人気のある
アカウントに無意味なリプライを繰り返すbot群を指す。
これらは、Xの広告収益プログラムを不正に利用して自身のインプレッション数
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コピーしたり、別の災害の画像を投稿したりデマや偽情報が拡散され深刻な問題
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それでも、Xは新機能を次々とリリースし、メディアからの注目を集めている。
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マスク氏は、しばしば、ユーザが真に求めているものを追求するためにリスクを
取ることもある。さらに、マスク氏は企業や組織が広告を流すツールではなく、
個々のユーザ間の交流を活性化し、新しいものを生み出す人々が報酬を得られる
仕組みの構築を考えているかもしれない。最終的には、Xを使って様々なことが
完結できる「スーパーアプリ」を目指しており、まだ発展途上だろう。
今後も改善を重ね、マスク氏の夢の実現に向けてXは進化し続けるだろう。
※注:文章中、投稿と投稿の共有・拡散を現在でも多く利用者に馴染のある
「ツイート(tweet)」「リツイート(retweet)」と表現しています。
なお、X公式では「ポスト(post)」「リポスト(repost)」と表現しています。
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