★☆★JNSAメールマガジン 第292号 2024.7.26☆★☆
2024/07/26 (Fri) 15:30
★☆★JNSAメールマガジン 第292号 2024.7.26☆★☆
こんにちは
JNSAメールマガジン 第292号 をお届けします。
メールマガジンはJNSAのホームページでもご覧いただけます。
JNSAメールマガジン https://www.jnsa.org/aboutus/ml.html#passed
コラム最後にワンクリックアンケートがあります。
ぜひこのコラムの感想をお寄せください。
今回のメールマガジンは
東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻
教授 鳥海 不二夫 様に
ご寄稿いただきました。
【連載リレーコラム】
「選挙とエコーチェンバー」
東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻
教授 鳥海 不二夫
本原稿を執筆している6月末は都知事選の真っただ中である。この原稿が出るころ
にはすでに結果も出ていると思われるが、結果以上に選挙戦そのものが話題豊富
である。総勢56名もの都知事候補者が立候補し、選挙戦に突入しているが、従来
の選挙戦とは異なる行動に出る候補者が続出している。選挙掲示板ポスター枠が
売却され、特定の候補のポスターが大量に張り出されたり、不適切なポスターを
掲示して撤去される騒ぎになるなど、話題に事欠かない。また、現在の選挙戦は
ネット上でも数多く展開され、YouTubeやX、Facebookなどソーシャルメディアで
も盛り上がりを見せている。
ところで、ソーシャルメディア上では、エコーチェンバーと呼ばれる現象が生じ
ることが良くある。エコーはこだま、チェンバーは部屋という意味で、コミュニ
ケーションが閉鎖空間でこだまのように繰り返され、特定の信念が増幅されてし
まう現象のことである。
選挙時に、エコーチェンバー現象が発生することは多い。特に、候補者の周り
には支持者が多く集まるため、その周辺には候補者に対してポジティブな言動を
行うユーザが増加する。そのような中で情報を収集していると、周りにいる
ユーザは候補者に対してポジティブな言動を繰り返すため、ポジティブな情報
のみに触れるようになる。人間には「自分の知らないことを知ることはできない」
という性質があるため、多様な情報に触れるよう意識的に行動しない限り、
世界中が候補者にとってポジティブな情報しか発信していないように感じるよう
になる。そのような状況下にいれば、当該候補者に対してポジティブな印象を
持つようになり、また候補者が多くの人に支持されているように感じるように
なる。たとえ、その候補者の支持者が少数派だとしても、エコーチェンバーの中
では圧倒的な多数派であると認識してしまうのである。
もちろん、選挙結果が開示されれば、実際の投票結果が採用されるわけで、
エコーチェンバーの中での認識と異なる結果が現れることもよくある。その時点
で自分自身の認識が誤っていたと気づけば問題はないのだが、もし信念が強固で
ある場合、自分自身の過ちに気付くことができない場合がある。そのような場合
自身の認識と結果との整合性をとるために「選挙結果が間違っている」「何者か
が票を操作したに違いない」と考えるようになる場合もある。事実、2020年
アメリカ大統領選挙の際にはトランプ元大統領自ら不正選挙について言及して
おり、また日本においては選挙用機材のトップメーカー「ムサシ」が不正選挙を
行っているという言説が古くから存在する。
2024年の都知事選では、AI開発者で作家の安野氏が立候補した。AIという点で
比較的近いところにいたことから、筆者の周りでも安野氏の立候補は大きな話題
となっていた。多くの知り合いがソーシャルメディア上で言及しているのは確認
していたが、Xのデータを分析してみると安野氏への言及数は極めて少ないことが
明らかとなった。X上で言及が多いから得票数が多くなるわけではないが、筆者が
自身のタイムラインから想定したよりも全体の言及数が少なかったのである。
明らかに筆者がエコーチェンバーの中にいたことを示しているのだろう。
ネット上のコミュニティでエコーチェンバーが生じるのは必然である。むしろ、
エコーチェンバーが生じるからこそ、ソーシャルメディアなどは楽しく快適な
空間となるため、それ自体は悪ではない。しかし、エコーチェンバーが存在する
ことを知らず、自分が接触している情報がどのように生み出されているのかを
理解しないままでいると、自分自身の認識がゆがむ可能性があることは知って
おく必要があるだろう。残念ながら日本において「エコーチェンバー」という
言葉の認知率は20%以下である。エコーチャンバーを避けるように行動すべきか
どうかは個人の判断ではあるが、そのような現象があるということを知っておく
ことは大切なのではないだろうか。
＃連載リレーコラム、ここまで
＜お断り＞本稿の内容は著者の個人的見解であり、所属団体及びその業務と
関係するものではありません。
＜ワンクリックアンケートお願い＞
今回のメールマガジンの感想をお寄せください。
https://tinyurl.com/bdhym56y
※googleアンケートフォームを利用しています。
【部会・WGからのお知らせ】
★調査研究部会インシデント被害調査ワーキンググループが
「サイバー攻撃を受けるとお金がかかる～インシデント損害額調査レポートから
考えるサイバー攻撃の被害額～」を公開しました。
https://www.jnsa.org/result/incidentdamage/202407.html
★JNSA教育部会が主催する学生さん向けイベント
「JNSAセキュリティチャレンジスクール2024夏期講座」（9月6日）の
参加登録を受付中です。
https://www.jnsa.org/seminar/edu/secuchalle/2024/summer/index.html
【事務局からのお知らせ】
★「JNSA活動報告会」（7月17日・18日・19日）の講演資料公開中！
講演動画もJNSAChannelで順次公開しています。
見逃した方、もう一度見たい方はぜひご視聴ください！
https://www.jnsa.org/seminar/2024/active/index.html
★JNSA事務局を騙った詐欺事件が発生しています。
当協会から個人の方へ金銭のご請求を行うことはございません。
お心当たりのある方は最寄りの警察署に御相談下さい！！
★リモートワークに活用ください！
「緊急事態宣言解除後のセキュリティ・チェックリスト」
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☆コラムに関するご意見、お問い合わせ等はJNSA事務局までお願いします。
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JNSAメールマガジン 第292号
発信日：2024年7月26日
発 行：JNSA事務局 sec@jnsa.org
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JNSAメールマガジン 第292号
発信日：2024年7月26日
発 行：JNSA事務局 sec@jnsa.org
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